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居酒屋の店先で、カラオケに向かう集団を見送った。
「駅まで歩こうか」
館長は歩き始めた。
会話の糸口が見つからず黙って歩いていると、急に立ち止まった背中にぶつかった。
「なんか……気持ち悪くなってきた」
「え?だ、大丈夫ですか⁉︎」
館長は壁にうなだれ襟元を緩めた。
暗くてわからないが辛そうだ。
「ああ丁度よかった。ここでちょっと休んでくよ」
見ると“ここ”はホテルだった。いかがわしい雰囲気の。
「あの……」
わたし帰っていいよね?
「肩貸して」
「え」
肩に手を回され、ズシリと小太りの体を私に預けてきた。
「か、館長、わたしあの」
「どこでも空いてる部屋選んで」
「あ、え」
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