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話していくうちに、加納の魅力に引き込まれる自分に気がついた
けれど、カズマとの仲を認めるわけにはいかなかった
だが、一度その決心が揺らぐことがあった
それは、ある日カズマの部屋で勉強をしていたときのことである
ふと本棚を見るとなにやらいかがわしい本がある
いかがわしい本があることは別によい
ただその内容が、男性同士の耽美な交わいが描かれているものだった
トモカもその存在は知っていたが、見るのは初めてであった
カズマが席をたったスキを見計らって、あらかた読んだ
そして…はまってしまった
そういった目で、カズマと加納を見ると
正直アリであった
なんかもう、これまでの苦悩もどうでも良いように思えた
それほどまでに、トモカにとって二人はお似合いであった
カズマを応援する気持ちも芽生えていた
だが、トモカは分かっていた
カズマの気持ちが揺れていることを
自分がちょっとつつけば、おそらく、カズマは自分の気持ちを封印して、何もなかったかのように、これからを過ごすだろうということを
きっとカズマは自分の初恋を隠してしまうだろうということを
せっかくカズマに芽生えた気持ちを、自分のエゴで摘んでしまって良いのだろうか
トモカは苦悩した
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