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初めての嫉妬の相手は
山村トモカには幼馴染みがいる
小学校の頃からの腐れ縁だ
付かず離れずの距離感で、長々と付き合っている
付き合っていると言っても男女の仲ではない
どちらかというと友情と言った方がよい
小学校6年生のときに一瞬異性として気になったことがあるが、気のせいだと言い聞かせた
その頃、幼馴染みである本上カズマは大人しくどこか影がある様子で、友達はいるが、深くは関わらない。そのスタンスが、トモカにとっては大人だなという評価に繋がった
けれど、それは他が子供過ぎると言うだけで、カズマが特別すごいというわけではないんだと言い聞かせた
それはトモカの一種の防衛反応だったのかもしれない
本能的にこれから起こりうることを察知していたのかもしれない
中学校に上がってすぐ、カズマは文芸部に入った
トモカは陸上部に入った
部活は違えど、帰りはいつも一緒だった
6月ぐらいから、トモカはカズマの異変に気づいた
あまり人に興味を示さないカズマが特定の人物のことばかり話すのである
それが、トモカにとって面白くなかった
冷やかされながらもずっと続けている下校の時間が、カズマと2人きりになれる貴重な時間が、脅かされている気がした
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