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 俺を前に適当な大言壮語を吐く、その意味が  不快感を露わにして睨みつける侠胆に司会は慌てて禁紅にステージに行くように促した。  禁紅がバトルステージに立つとスポットライトは通常の証明に切り替わった。  向き合い睨み合う二人と会場に司会が説明した。 「はい、それじゃあ『キングスコロシアム』。勝負は八小節の二ターン。二ラウンド先取した方の勝利です。勝敗を決めるのはこちらッ!!」  大袈裟な身振りでステージの右寄りにある審査員席を指した。 「コロシアムを仕切る五人の審査員の皆様です」  そして個人個人の説明を行った。業界のご意見番、関西の大物MC、若手の育成に注力する実力者、音源制作ベテラン、そしてゲスト審査員として若いアイドルが今日は招かれていた。  MCバトルという一般人に馴染みのない文化を地上波に乗せるためになるべくポップな番組作りをしている。そういった製作者の創意工夫がこの番組を成長させたのだった。たとえ審査するに足る審美眼を持たない人間だとしても彼女をフックに一人でもMCバトル、ひいてはHIPHOPに興味を持ってもらえればそれでよかった。     
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