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遠退いていた意識が不意に浮上する。触れ合った素肌が未だ熱を持ち、乾ききらない汗がゆっくりと流れ落ちてゆく。現実に戻れずもがくと、おおきな腕が俺の身体を抱き起こした。
「あっ、ぁ──」
背筋を走る電流に、思わず高い声が喉を擦り抜け吐息のように漏れ出ていった。
違和感を覚え視線を落とすと、彼の膝のうえに抱えられた身体は、根元まで昂りを呑み込んだままでいた。
「気が付いたか?」
優しい声がそう問うて、乱れた髪を緩く梳く。その少しの身動ぎさえ敏感な神経を擦り上げるものだから、俺は耐え切れずに彼のふとい頸に縋り付いた。
「ぬいて、おねがい」
「もう少し、もう少しだけ」
懇願するように囁くと、緩やかな律動が再開される。
自分の吐いた白濁はべっとりと腹を汚していて、昨晩から続く行為の陰湿さを物語っていた。
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