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「前に話したように。里樹が憶測したように一旦冷凍して、解凍したモノを小分けにして捨てていったの。残った骨は自分で砕いたわ。あれは力仕事だもの。お母さんにはもうキツイ仕事だからね。だから、わたし自身でやった。……なんて話。あなたたち、マジの本気で、信じているんでしょうね」
「それが真実なら。信じるしかないよ」
「女のわたしが、一撃で大きな男を殺せたと」
「一撃ではなくて。倒れたところを馬乗りになって、何度も打ち据えた」
「あのね里樹。いい加減にしなさいよ。そんなふうに先読みするから。深読みしすぎて、友だちにウザがられて。クラス内で孤立してしまったのでしょうが。ハルちゃんを見なさいよ。バカみたいに素直に育っている。黙ってここに居れば、殺害容疑をかけられたとしても、まぬがれられた。わたしたちにも知られることなく、暮らし続けられた。悩んで大っぴらに相談するから、自分の首を絞めようとしてしまった。そう思わない?」
「五月蝿い。ハルカと俺を一緒にすんな。俺は自分のポリシーを貫きたいんだ。放っとけ」
「そんなこと、言ってられないの。あなたは東京に帰るんだよ。自分の父親が殺されたと主張しているマンションに戻るの」
「なんで? 俺は戻る気、まったくないが」
「ばあばはもう居ないし、ハルちゃんも仕事の有給休暇が終われば東京に戻る。独りでこの家に居ることは無理だよ。この家は売るつもりだから。もう住めないの」
「俺、独りでも暮らせる。ご飯も作れる。掃除だって上手い。学校も休まず通う」
「里樹が自立できている、いないの問題じゃないの。この家に、問題あるの」
もう口を濁してはおられない。
望美は里樹と陽香を見回す。
深呼吸を一回したあと、
「だってね。ばあばが里樹のおじいさんを解体したことだけは本当の話、なんだよ」
声を震わせながらも、言い切った。
刹那。
部屋の中が凍てつく。
何を今さら。
そう言われそうだ。
今まで散々、ここで殺害方法や死体損壊の手順を話してきたではないか。話している最中ではなかったか。
「わたしが目撃したのは、お父さんの太もも。お母さんが、これはお父さんの脚だと認めたわ。離れで死んでいたから処分しているんだと、お母さんが話したことも嘘じゃない」
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