23人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「……一瞬、計画が気づかれたかもと、こちらもドキリとしましたしね……」
男も、同じようにコーヒーの最後の一口を飲んで、
「……だが、本当に親戚だったとは、やはり気づかれなかったようで……」
にやりとほくそ笑んだ。
「……身内を誘惑させるのはリスクもありますし、見知ったものを使った方が後腐れもないですからね……」
女の方もクッ…と短く笑い、
「……では、もうこれっきり私たちも会わないということで、
今回の縁談はなかったということに……」
カップを置いて、席を立ったーー。
「ええ、結婚は、めでたく破談とさせていただきますので……」
男の方もカップを置き、先にテーブルを立った女を満ち足りた顔で見送って、店を後にしたーー。
完
最初のコメントを投稿しよう!