名称未詳

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今日は、神様が死ぬ日。 誰にも知られず、人々を見守ってきた神様が死ぬ日。 廃れてしまった境内の、一人佇む神様に、静かに目を合わせた。 神様は笑った。 この世に出て幾星霜。幾人もの人の子の死を見てきたが、看取られるのは初めてだ。 神様は手を伸ばした。 でも、君で良かった。 瞬きしたら、もう居なかった。 悲劇でもなく、喜劇でもなく、ただ一つの終わり。 神様がいるという、一つの世界の終わりだった。
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