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なんだろなと思って開いてみると珍しく玉彦からで簡潔に『本日早朝から夜中まで役目の為連絡不可』とたった一行だけあった。
昨日電話した時にも言ってたけど、朝から夜までのお役目って何だろう。
澄彦さんからお役目が立て込んでいるという話は聞いていなかったし、受験勉強がある玉彦には負担にならないようにしていたはずなのに。
澄彦さんに何かあってその分玉彦が動かなければならなくなったのだろうか。
心配になって正武家へと連絡を入れようとした矢先、厨房のドアからお兄ちゃんが姿を現した。
そして私を見てぎょっとして、慌てて背を向けると戻って行く。
何だろ。何か引っかかるぞ。
私は電話を止めてお兄ちゃんの後を追い厨房に足を踏み入れて、青いTシャツの背中を引っ張った。
「どうして私の顔見て逃げんのよ」
お兄ちゃんはチラリと私を振り返って、まいったと首の後ろをしきりに擦る。
「なによ」
「お前、なんかやらかしたのか?」
「はぁ?」
「いや、いい。おれのことは気にすんな」
「何を言って……」
お兄ちゃんをさらに追求しようとすると、厨房のテーブルに両手で抱えるほどの大きさの段ボール箱を二つ、ドスンと長男の茂成さんが置く。
思わず中を覗くと、お米の袋や野菜やお肉、魚などがぎっしりと入れられていた。
数日分の食料品だ。
でも海の家で使う分にしては少なすぎる。
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