第十一章 『亜由美と那奈と仁義と四馬鹿』

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もやもや気分で外に出ると、またしても大沢先輩が待っている。 両腕に修理が終わって空気を入れた浮き輪を何個も通し、私は店先に運び込む。 浮き輪は年に数回夏のシーズンにしか使わないものなので、案外レンタルする人が多い。 私が修理した浮き輪たちもすぐにレンタルされて商売繁盛だ。 取り合えず私が裏手で任されていた修理作業が一段落して、ゴミの選別も今日は大沢先輩が自分の海の家のものと一緒に手伝ってくれたりしたので仕事が早めに終わった。 那奈と亜由美ちゃんは店先でフードを販売しているので私は手伝えなく、仕方ないので厨房で何かお手伝いは無いか聞いていると、茂雄さんが表の二人が上がるまで休憩で良いと言ってくれる。 ここ二日間、かなり手加減なく仕事を言いつけられていたのに。 私はお言葉に甘えて厨房の隅っこにあった一斗缶に腰を下ろしてスマホを取り出す。 さっき正武家へ連絡をしようとして出来なかったけど、よくよく考えて私が連絡したところでお役目を手伝える訳でもなく、ただ時間を無駄にさせてしまうだけだと思い直して、玉彦に返事だけを送った。 『お役目お疲れ様です。無理や怪我をしないように気を付けてね。二日後が待ち遠しいです』 送信して思う。 ほんと待ち遠しい。 私ってこんなに玉彦のことが好きだったんだと改めて思う。 普段は玉彦が寄ってくることが殆どで私から甘えることはあまりない。 なのでこうして玉彦がいない生活になるとぽっかりと穴が開いてしまったようで寂しい。 「はぁ~……」 思わず溜息が零れてがっくりと頭が落ちる。
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