第十一章 『亜由美と那奈と仁義と四馬鹿』

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待ち遠しいのにはもう一つ理由がある。 それは夜を迎えたくないということだ。 昨日の彼女は今夜も現れるのだろうか。 大沢先輩の元へと向かうのだろうか。 そして追いつめられた大沢先輩は安全な場所を求めて、私たちの宿泊所まで来そうな気がするのは私だけか。 しかも一人じゃなくて四人一緒に来そうで嫌だ。 一応視えてしまっているのは大沢先輩一人だし、残りの三人は視えないから切羽詰まった問題にはならないだろうけれど。 玉彦の御札が彼女に対してどれくらい持つのか疑問もある。 そして彼女以外の何かの気配だ。 昨夜は唐突に現れた彼女を不意打ちのような形で視てしまったけど、それ以外のものに関してはわざと視ない様に気を付けていた。凝視しないように。 今は昼間だから何も感じない。 でも夜になればどうなるか分からなかった。 私の経験上あぁいう類のものは不可思議な自分を認識した人間に寄ってきやすい傾向がある。 もし昨日のことが発端で私と大沢先輩が目を付けられたとしたら、今夜絶対に何かが起こるはずだった。
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