第二幕 捜査

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 自然の中に存在する力を行使するのが魔術なら、禁呪とは自然には存在しない力――異界に住む悪魔の力を行使するものを指す。あまりにも危険な術の為、行使はもちろん研究すら一般的には認められていない。 「現場の魔法陣を詳細に比較すると、微妙に文様が異なっていることが分かりました。一般的な魔術でもこのような手法は用いられ、それら全てを重ね合わせた時に一つの魔法陣として完成するような仕組みになっています」 「つまり、これまでの事件は何かの下準備に過ぎず、本番の儀式はこの後に控えていると」 「首を持っていったのも、そう考えれば納得でしょう」  怪しげな儀式に供物は付き物だ。 「ありがとう。助かった」 「最後にもう一点。どうやらこの禁呪は、生贄を代償に願望を叶えてもらう類の呪文だそうです」  全ての報告を終えると、モーガンと呼ばれた憲兵は再び魔法陣の脇に座り込み、血で描かれた文様を丁寧に書き写し始めた。 「生贄を代償に、願望を叶えてもらう禁呪」  どこかで聞いたような気がする。随分と昔のことなので記憶がはっきりとしないが、妙に記憶に引っかかった。  机の上に広げた地図に目をやった。これまでに事件が起こった場所、そして今回の事件が起きたエスター邸の場所が地図にはしっかりと書き込まれている。それぞれ共通点らしいものは無い。強いて挙げれば、身寄りのない老人で近所に家が無いので事件が発覚しづらいことくらいか。     
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