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乱れた布団を掛け直し、優しく頭を撫でてあげるとすぐにモニカは眠りに落ちた。オズワルドは娘の頬にキスをするとメイドのもとに戻った。
「あの、旦那様。これはいったいどういうことなのでしょうか」
事態が飲み込めず困惑の表情を浮かべるメイド。しかし、オズワルドはそれに答えはしなかった。
「すまない、説明する気分になれないんだ。ただ、モニカの病気はもう心配しなくていい。今日はもう休んで良いから、少し一人にしてくれないか」
「……かしこまりました」
彼女もまたモニカの世話を引き受けている身。気にならない訳は無い。しかしメイドとしての分別も持ち合わせていた。深く追求することは無く、一礼を残すと主の命に従って自室に戻っていった。
「騎士は善なる存在だ。俺は騎士として正しかった」
自分に言い聞かせるようオズワルドは呟いた。彼は法に従った善なる者だ。それは間違いない。
「だが、父親として……正しかったんだろうか、俺は」
自分に向けられた無邪気な笑みが脳裏に焼き付いて離れない。全てに代えてもあの笑顔を守るのは父親の役目ではなかったのか。オズワルドは答えを出せぬまま立ち尽くすのみだった。
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