第三幕 騎士と魔術師

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「抵抗する気はない。だが、もう少しだけ待ってくれ。もうじき儀式も終わる」 「そんなこと出来る訳無いだろう。禁呪は危険な代物だ。その行使を見過ごすことは出来ない」  キッパリと応じるオズワルド。強い意志を感じる声にヘクターは深く溜息を漏らした。 「相変わらずの石頭が。儀式が行われればモニカを救うことが出来るんだぞ」  ヘクターの言葉にオズワルドは目を見開き、驚愕の表情を浮かべた。 「お前、モニカを救おうと……」  僅かにオズワルドの表情に迷いが浮かんだ。ヘクターも無言のまま頷き、オズワルドの予想が正しいことを伝える。 「モニカは……もう助からん。現実を見るんだ、ヘクター」 「それは今の魔術、医術の限界に過ぎん。禁呪なら、古の悪魔の力なら、病くらい如何様にも出来る」 「何人もの命を代償にしてか? モニカ一人を助ける為に、五人もの命を奪って良いと言うのか?」 「それの何が悪い! どうしてモニカの命を諦められる。モニカは、モニカはお前の娘だろ!」  オズワルドが声に詰まる。モニカ・スペンサー。それが彼の娘の名だ。生まれつき体が弱かったが、数年前に更に悪化。余命はあと僅か。いつ亡くなっても不思議では無いと言われていた。 ヘクターの言葉にオズワルドの手が、体が震える。     
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