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第四幕 全てを終えて
「旦那様! モニカお嬢様が、モニカお嬢様の体調が……!」
帰宅したオズワルドを迎えたのは、感涙に咽ぶメイドだった。
「あぁ、分かっている。病気が治ったんだろう。モニカは部屋か?」
その言葉にメイドは驚いた。帰宅したばかりの彼が娘の状態を知っていれば当然だ。事情を飲み込めぬまま彼の質問に頷いて応じる。それを確認したオズワルドは娘の部屋を訪ねた。
所狭しと人形が並んだ子ども部屋。禄に外にも出られない娘の気分が少しでも晴れればと買い与えるうちにここまで増えてしまったのだ。ベッドの上まで人形が溢れ、モニカは人形たちに囲まれるように眠っていた。
聞こえてくる安らかな寝息に、安心しきった表情。いつも病で苦しそうに眠っていたのが嘘のように穏やかだった。
「パパ?」
人の気配を感じたのかモニカが目を覚ます。眠たそうに目を擦りながらベッドの上で身を起こそうとする。
「無理しなくて大丈夫だよ。パパはここに居るから」
オズワルドの方から歩み寄ると、起き上がろうとしていたモニカの身体を再びベッドに寝かしつける。
「平気よ。もう全然苦しくないんだから!」
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