四日目

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 と、必死の思いでリダイヤルを繰り返し携帯を充電しておけばよかったと残りのバッテリー量を心配しつつも、ようやく電話がつながった。  妻の状態を説明したところやはり統合失調症の可能性が高いから病院で診てもらった方がいいと、何軒か病院の電話番号を教えてもらう。妻が行きたがらないのですがどうしたらいいですかという問いには何とかするしかないですねという非情な回答しかくれない。  最初に教えてもらった病院に電話をかけるが受付は終わってしまったという返事ばかりだった。メモした電話番号を順番に電話していき、四軒目にしてようやく診てもらえる病院にたどり着く。  病院へ行くことの説得に関しては僕の表情が怖かったのか、何かしら拒否できないオーラのようなものが漂っていたのか、そんなものが出ていたとしてもおかしくないほど僕は必死だったのは確かだったわけだが、思いのほか素直に病院へ行ってくれることになった。  病院で診察してくれたのは年配の女性の先生で、妻もひとまずは安心したらしい。  話しづらい妻の代わりにあまりでしゃばり過ぎないように気をつけながらできるだけ客観的に妻の状態を説明する。 ときおり妻に話すように促し、一方的にならないように注意する。  そして盗聴器や盗撮カメラの話までは順調にきたが、そこで戸惑う。     
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