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三日目
会社に着いて仕事をしているとしばらくして携帯電話が鳴った。
「○さん、わたしの携帯のGPS、操作した」
「そんなことしてないよ」
そんな記憶などない。
妻からの電話に素直に否定する。
「今までOFFだったはずなのに。誰かが勝手に操作したってこと?」
否定しなければよかったと後悔する。
妻は階下の住人が妻の居場所を知るために妻の知らないうちにGPS機能をONにしたと思い始めている。
こんなことなら自分がやったと嘘をついておけばよかった。
すかさず携帯電話は最初からONが標準だよと言い含める。
そんな馬鹿な、と思う人もいるだろうけれども太陽は西から上がると信じてしまえばたとえ物理現象と大きく異なっていても、それを成立させるための異質な論理を構築して自分の世界を強固にしてしまうのが妄想なのだ。
アパートの管理人に電話して壁スイッチの状況を説明し漏電の可能性について聞くのだが、相手の回答は予想外の内容だった。
「蛍光灯の寿命が切れそうになるとそのようになります。蛍光灯をつけていない場合もそうなります」
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