理想鏡

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階段をのぼる音がする。 「ここか。理想鏡。」 手を添えてみる。 水の跳ねる音がした。 「!」 何も話さず、優は鏡の中に入った。 椅子とテーブル。大きな鏡が1枚。 そして、金魚が空間を泳いでいた。 「だあれ?」 ふいに少女の声が聞こえた。 「えっ…」 振り返るとそこには白いワンピースを着て、浮いてる少女がいた。 「悩みがあるのね。聞いてあげる。君、名前は?」 「えっ…木山 優 だけど……。」 「そう。」 「私は 管理人 リム。ここは何にもない空間。重力も空気も空腹も生も死もない空間。 だから浮けるの。」 「なるほど。」 優は自分の浮いてる体を見た。 「ちなみに、一度でもこの空間に入ったら、現実でも無重力になるから~、気をつけてね。」 「さ、まずは悩みを聞こうかな。」
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