0人が本棚に入れています
本棚に追加
階段をのぼる音がする。
「ここか。理想鏡。」
手を添えてみる。
水の跳ねる音がした。
「!」
何も話さず、優は鏡の中に入った。
椅子とテーブル。大きな鏡が1枚。
そして、金魚が空間を泳いでいた。
「だあれ?」
ふいに少女の声が聞こえた。
「えっ…」
振り返るとそこには白いワンピースを着て、浮いてる少女がいた。
「悩みがあるのね。聞いてあげる。君、名前は?」
「えっ…木山 優 だけど……。」
「そう。」
「私は 管理人 リム。ここは何にもない空間。重力も空気も空腹も生も死もない空間。
だから浮けるの。」
「なるほど。」
優は自分の浮いてる体を見た。
「ちなみに、一度でもこの空間に入ったら、現実でも無重力になるから~、気をつけてね。」
「さ、まずは悩みを聞こうかな。」
最初のコメントを投稿しよう!