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六年後、二四歳で、信治は三等空尉に昇進し、茨城県百里救難隊のUH60Aヘリコプターの機長になった。
加奈も同時に東京大学大学院を卒業し、司法試験にも合格し、弁護士事務所に就職した。
未だ、二人の愛は高校生の頃からまったく色あせていなかった。
信治は加奈にプロポーズをした。加奈は涙を流して喜んだ。
二人の愛は、このまま順調に続くと思っていた・・しかし・・
「駄目だ。そんな奴との結婚は許さん。自衛隊は軍隊だぞ。人を殺す仕事じゃないか。何故、お前が、そんな奴の嫁にならなくちゃいけない」
加奈の両親は猛烈に反対した。彼等はもともと、自衛隊に対し大きな嫌悪感を持っていた。それは誤解から発生していたものだが、彼らにとってはとうてい受け容れられないものだった。
「信治は人々を助ける仕事をしているわ。それを理解して」加奈の説明にも、まったく耳を貸してくれなかった。
加奈は信治と駆け落ちするしかないかと思っていたが、信治の考えは違った。
「僕は両親が居ないから自分で全て決めれば良いけど、君には両親が居る。それは素晴らしいことだ。君の両親が受け入れてくれない結婚は出来ない。僕に直接、話をさせて貰えるかい?」
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