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「おじさん、おばさん。怒られようが、水を掛けられようが、僕の加奈さんへの想いは変わりません。また、僕の仕事は人々に誇れる仕事である事も変わりませんし、この誤解は解いて貰わなければいけません」
信治は、顔を拭いて続けた。
「僕はこれからも人命救助を続けます。それを見て貰って、納得して頂けた時に、もう一度加奈さんとの結婚をお願いに来ます。僕の今後の仕事を見ていてください」
そう言って信治は加奈の自宅を辞した。
加奈は孝道に毅然として言った。
「お父さんの仕打ちは、あんまりよ。あんな素晴らしい人に頭から水を掛けるなんて、もう私の親とは思いたくない。しばらく私は一人暮らしをさせてもらいます!!」
それを聞いて孝道は少し態度を軟化させたが、自分の考えを変えることは無かった。
一週間後、加奈は自宅を離れ、一人暮らしを始めた。
信治は百里基地近くの官舎に住んでいるので、引き続き離れての生活だったが、加奈はいずれ、両親の許しが無くても結婚をするつもりだった。
しかし、信治は両親の許可無しに結婚できないとの意見で、ここは平行線のまま二人の付合いは続いていた。
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