1人が本棚に入れています
本棚に追加
通勤路 - 1
満開の桜を見た。懐かしい人と一緒にいた気がする。
桜の木の下に死体が埋まってるからあんなに綺麗なのだ、と懐かしい彼は言った。
もうこの世に死体は一体もないから、死体が増えることもないから、それは間違いだよ、と私は返した。
何を言ってるの、人が死ぬのは当たり前じゃないか?
彼はそう言ってクスクス笑った。そういえば、こうやって人の言葉を否定する人だったなぁと私は思い出す。
あぁやっぱり、これは夢だ。
※
そこで私はベッドから転げ落ちた。30cmの高さからの落下はかなり痛い。右肩から落ちた所為で右腕全体がしびれている。利き手が使えないと仕事に支障が出るからやめてほしい。
今日も目を覚ましてしまった。六時半を指した目覚まし時計を止める。社会人としては平均的な起床時間、大学時代は午前中に起きた試しがなかった。
カーテンを開け、けだるい身体を起こして伸びをしてみる。
今日はいい天気だ。窓から見える桜も満開で、春爛漫といったところ。このまま会社に行かずに公園にでも行こうか。一生懸命働くのは何のためだったっけ、と、晴れた日には考えてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!