通勤路 - 1

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 コンクリートの劣化年数はどれくらいか、道の保全は誰に頼めば良いのか、わからないことが多すぎる。こういう、他のことに気を取られているときに事故を起こすのだろう。考えながら、道路の段差からくる衝撃に耐える。  どうせ事故を起こすなら知的な美形と電撃的に出会うきっかけとなれば良いのに。  と、いつもと同じ結論に至ったところで職場に到着した。脳内活動だけ動く身体のはずなのに、なんでいつもこの結論になるのだろう。  やっぱり、脳細胞の動きも止まっている身体活動に入るのだろうか。いまいち判然としない。政府が詳細を公表してくれないせいにしよう、と己の煩悩に蓋をする。  家から職場まで一時間半自転車を漕いでも疲れひとつない身体。  今日も相変わらず世界中の人間の時間は止まっているようだ。
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