MACSJ0647.7+7015近縁にて

1/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

MACSJ0647.7+7015近縁にて

機械の身体を持つ隊長を先頭にして、一個小隊のロボット達が宇宙開拓艦の遺跡を探索する。 この発掘隊のだれもが非生命だった。副官が隊長へ思念を送ってくる。 「有機生物では耐えられない量の汚染物質を検知しました。おおかた、この人類開拓艦は光速航行中に超新星爆発の残骸を透過したんでしょう」 すでに遺跡と化した五千万年前の開拓艦に、わざわざ彼らの小隊が派遣された理由。 それは、彼らの始祖が生まれた惑星を同定させるための調査が、コアを中心としてここ数万年進められているからであった。 始祖惑星の在処は、人類が宇宙の隅々に進出した後滅び、隊長たちのような『存在』にとって代わるという、数千万年の経路を辿るうちに散逸していた。 歴史に埋もれた青い星を見出すべく、ロボットの子孫たちは宇宙中の人類遺跡を探し回っていた。 隊長は小隊員へ下命する。 「もうじきこの開拓艦遺跡はグリーゼ8星系の恒星へ突入する。それまでに航海データを抽出しろ」 隊長たちは、発掘隊の先遣分隊が待つ艦橋へと二脚を進める。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!