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彼女と翔先輩はよく言い合いをしていた(バスケ部の名物になっていた)が、それはお互いを信頼してるからこそできることなんだと思った。
その姿を見ていると少し苦しくなる時もあった。2人で一緒に帰ってる姿も、何度自分なら良かったのになーと考えたことか。
ただ、その姿を見ることも今日で最後かと思うと考えるものがあった。
彼女と会う機会も減るだろうと思う。
3年生と会う機会なんて部活以外でそもそもそんなにないし。
これが引退なのかーと実感していた。
「和也、ありがとうね。」
不意に彼女が言った。
「和也のおかげでここまでこれたんだよ。3年生だけじゃあ無理だったし。私を決勝まで連れて来てくれてありがとう」
彼女は手を出してきた。
「最後に握手しよ。これで私は引退だし」
俺も手を出した。彼女の小さな手を感じ握手した。
「本当にありがとう。」
笑顔で彼女は俺に言い、「じゃあ、泣き虫キャプテンのところに行くね」と俺の手から離れていった。
俺もそろそろ諦めないとなー。
次は同級生か後輩がいいなと思いながら、彼女の後ろ姿を見ていた。
END
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