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おばあさんは、毎朝同じ時間に家の前を箒で掃いていた。とてもとても丁寧に掃いているようだった。何度か時間を前後にずらしても、おばあさんはそこにいたからだ。
他人とはいえ、男の子と並んで歩くのを毎日見られるというのは気恥ずかしかったのだが、その近道の便利さが勝った。下校の時間はいつもまちまちで、男の子と並んで歩くこともなかったので、その道を使うことはなかった。だから私は、朝のおばあさんしか、知らなかった。でも、その日は男の子が風邪で学校を休んだので、見舞いでもしようかと帰るついでに男の子の家へ向かった。
結果から言うと、私は男の子の家のインターフォンに指を寄せることすらしなかった。ただ、ドアの前に立っているだけだった。
夏が去ったばかりの頃だった。深く息を吸うと、鼻の穴が少しだけすうっとした。
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