秋のはじめのつむじ風

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秋のはじめのつむじ風

 男の子と並んで歩くようになってから、通学路のコースが少し変わった。  それまで通っていた大きな道から、ピザLサイズくらいの切り株を目印に右に曲がって細い路地に入り、突きあたりを左に曲がるとすぐ、男の子の家がある。(全六室のアパートの一階、向かって右端が男の子の家だった。)  その細い路地は、もしかすると私道なのかもしれないけど(グーグルアースのルート検索では出てこなかったし)あまりに便利な近道なので、少し迷ってから、そうっと足を踏み入れた。誰にも叱られることなく通り過ぎることができてほっとしていたら、突きあたりにさしかかるところに、おばあさんがいた。  父方の祖父母も母方の祖父母も七十代で、それよりもずっと「おばあさん」に見えるから、きっと八十代くらいだろうな、と思いながら、思わず泥棒のような足になった。けれど、そばを通り過ぎても何も言われなかったので、私は無事に、家の前で待っていた男の子と合流することができた。それからずっと、そのコースを使って登校している。
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