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寝返りを打つと手が何かに触れた
すべすべとして硬くほんのり温かい何か…
まどろみの中に居た私は手に触れた何かを撫で回して思う
なんだろこれ?
目が醒める
そして一緒のシーツに包まる見知らぬ裸の男の胸を撫で回している自分に気付く
ガバッと起き上がると後ろからガンガンと殴られた様に痛む頭
ヴっう
飲み過ぎ?
昨日どうしたっけ?
もしかしてこの状況って
まさか飲み過ぎて知らない人と、ってやつ?
行きずり?
…まじですか、これ
頭を抱えて唸っていると男も目が覚めたようで
やたらと澄んだ瞳と目が合った
男は目を逸らさずにゆっくりと起き上がり口を開いた
おはようございます、すみれさん
…名前も名乗ったのか、私
他にも何か個人情報渡してしまったのかな?
どうしよう、この状況
何か困り事ですか?
男は微笑んだ
私は答えに詰まり、少し考え
開き直って言ってみる
ええ、あなたが誰だか分からなくてどうしたものかと
ああ
そう言うと男は あはは、と笑い
指を私の目の前でパチンと鳴らす
その指先にはどこからか一輪の赤いの薔薇が現れた
そしてそれを私に差し出す
それをみた瞬間
昨夜の記憶が頭の中で甦る
ピエロ…
ええ、私は昨日のクラウンです
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