1、冷たい依頼

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「はぁ、びっくりした」 雪乃は目を見開いている。それもそうだろう、軽やかに起き上がりはしたが、僕の顔面にはまだいくつもの氷柱が刺さったままだったから。 「なんなのよ、あんた!なんで、平気なのよ!」 雪乃は狼一の手を振り払い、後ずさった。 僕は、自分の顔マスクをとった。僕は首から上が無くなった。 「いやいや、平気じゃないですよ。この特殊メイクするのなかなか時間かかるんですから。まさか1日でダメになるとは…」 僕が近づいていくと雪乃はまた少しずつ後ずさりをした。 「あ…あ…」 「言っておきますけど、僕はこんな成りでもちゃんと人間ですよ」 「説得力なさすぎるだろ」 僕は懐から仮面を取り出し、無い顔につけた。 「顔無し仮面参上…っと。…ねぇ、僕の顔、知らない?」 「いや!」 雪乃は僕の体に両手で触れた。 「え…なんで?」 「僕を彼みたいに凍らせる気ですか?」 雪乃はとても悲しそうな目でこちらを睨んだ。 「違う、違う、違う!そんなつもりじゃなかった!ただ、ただ、私は!」 洞窟の中が吹雪き始めた。 「おい、顔無月!なんとかしろ!寒ぃ!」 「あなたが真実を話せば助けてあげますよ。ほら、願いを言って」 「…お願いだから、彼を助けて。私のせいで彼は…」 雪乃は泣き出した。深々と雪が降ってきた。 「その依頼、引き受けました」
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