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「数日前、私と兄はその噂を思い出し、立ち入り禁止だった氷柱に行ったんです。そして、石をぶつけました」
雪乃は俯き、スカートを皺になりそうなくらい握りしめていた。
「それで?」
「兄が石をぶつけたとき、氷柱が割れたんです。そして…兄は凍りました。私は怖くなってその場から逃げてしまったんです」
「兄は凍り、妹は周囲を冷やすようになった…」
「どうか、兄を助けてもらえませんか?自業自得だってことはわかってるんです。でも…」
僕は部屋の寒さでぬるくなったコーヒーを飲んだ。
「わかった。…狼一、防寒具の用意」
「おう!」
狼一の声は震えていたし、僕らの口からは白い息が出ていた。
雪乃の顔に笑顔が戻った。
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