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「ここです」
目的の地についた。そこには床に散らばる大小様々な氷の残骸と虫入りの琥珀のような凍った男性の姿だった。
「へぇ、これが」
僕は氷に触れた。
「で、どうやって助けるんだ?」
「さぁ?」
僕は振り向き首を傾げた。
「「は?」」
「そうだな、お湯をかけてみるか…割ってみようか」
「ダメ!ダメに決まってるじゃないですか!」
雪乃は声を荒げた。
「いつも通り普通に助けれないのか?」
「いつも通りも何も、どの怪異が関わってるかもわからないし、宇宙人の仕業だったらお手上げだしなぁ」
雪乃の拳はわなわなと震えている。
「じゃあ、どうして助けられもしないのに依頼を引き受けたんですか?」
「ところで雪乃さん、寒くありませんか?」
「は?」
「いやね、洞窟に入ってからは事務所以上に寒いですから、雪乃さんは大丈夫かなと思って」
「別に寒くありません」
雪乃の言葉には怒気が含まれていた。
「おかしいですね、ここ今、0度くらいですよ。普通の人は半袖ではいられません」
僕の言葉に雪乃は目を見開いた。
「…暑がりですから」
「苦しい言い訳ですね、氷柱女さん」
「顔無月!」
雪乃は両手を僕に向けた。いくつもの氷柱が放たれた。
氷柱は顔面に全て突き刺さり、僕は倒れた。
「お前!」
狼一は雪乃に掴みかかった。
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