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たしか小学生になる少し前だったと思う、お見舞いか何かで大きな病院へ連れて行かれた。
そこであたしは両眼の無い真っ白な少女が歩いているのを見つけた。
「せっちゃん、視ちゃダメ!」
曽祖母は珍しく厳しい口調で言った。
「ごめんね。でも、あの子は視ちゃいけないモノなの」
あたしが驚いた顔をしたからだろう、すまなそうな口調だった。
「どうして?」
あたしが聞くと困った顔になり、曽祖母はしばらく黙り込んだ。
「あのね、せっちゃんは普通の人が見えないモノが視えてるの」
「みえないモノ?」
「そう、例えばさっきの女の子」
「でも、ばぁばもみたでしょ?」
曽祖母は苦笑した。
「せっちゃんは賢いね。そうだよ、せっちゃんとばぁばは特別なの。
だから、普通の人に視えないモノの事は、お父さんやお母さんにもこれからは言っちゃダメだよ。お約束できる?」
と言って指切りげんまんの手をした。
あたしは素直にうなずいた。
あの少女がとても怖ろしかったからだ。
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