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#2 火葬
陽が沈み切る前に、早足で、アパートに帰ると、ソファから青白い顔をした男が身を乗り出した。僕の姿を見て眉を顰めた。
「なんだそれ」
「向日葵…」
「ああ、お前のお気に入りのやつな」
彼は怠そうに立ち上がり、部屋の隅に積んであった新聞紙を骨張った指先ですっと一枚掠め取った。落とすように床に広げ、そこに置くように指差した。すぐに手を洗い、泥がついてしまったシャツを脱ぐように言った。
「ここらの地面には毒があるから、触っちゃダメだって何度も言ってるだろ」
軽く手をゆすいで、ハンドソープを泡立てると、両手にヒリヒリとした痛みを感じ始めた。やってしまったなと勘付きながら洗い流すと、先ほどまで泥だらけでよく見えなかった両手が、赤いまだら模様に覆われていた。
彼は僕の手を見て、溜息をついた。
「これ、どうするんだ?」
「向日葵の種って、人間も食べられるんですよね」
「食えるけど、飯の準備が済んでるから、そっち食え。植物の種食うほど困窮してないぞ。それに、これに限っては腐っててダメだ。そもそもこの土地は水も土も良くないから、体の毒にしかならない。処分するしかないな。」
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