嬉しいのかな?

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 菜央の両手を握ったまま言うから、菜央は寂しくなる。  「行かないで、って言わないの?」  「好きな女のやりたいことを邪魔する奴は、好きでいる資格なんかないんだ。だから菜央が行っちゃって毎日寂しくても、そんなの大した事じゃない。菜央を好きでいる資格を失うことに比べたら、どうってことない。」  奈央の留学が決まってから、新がずっと考えていたことなのだろう。迷わず、きっぱり言い切った。  「うん。」  菜央は何も言えずに頷いた。  (好きな女、って言った?)  頭の中では新の留学を後押ししてくれる言葉を喜んでいる。心の中のどこかでは、少し寂しい気持ちもある。  頭と心のバラバラな奈央の中を、新が言った「好き」が嵐のようにかけまわる。  「でもさ、滝本。挨拶でも男とキスしないで。」  新は笑って、もう一回、サッと菜央にキスをした。今度は触れたか触れないかわからない位に。  それから照れ隠しにそっぽを向いて、視線だけ菜央に投げた。  「そのビー玉。工藤と記念に持ってるの?」  「そうだけど……。さなちゃんに悪いな。このビー玉見たら、乃木君のことも一緒に思い浮かんじゃう。」     
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