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プロローグ
桜の散る日、一人の少女が桜の淡い桃色を見上げていた。ブレザーで身を包み、見上げていた。青空の下。
僕と君以外誰もいない校庭で、僕と君だけが立っている。
僕は君を見つめていた。何にも興味を持つことのなかった僕が。
「帰らないの?」僕が聞く。
「少し、悲しいよね」君が答える。頬に涙を添えて。
美しい桜の散り際に少女は涙を流していた。
僕は、名前の知らない震えを覚えていた。
君と桜と青空のコントラストから目を離せないでいた。
この感情に恋なんてありきたりな言葉を使いたくはない。
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