いつかの青空

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 明日の朝、世界が滅ぶと発表されたのは、一月前のことだ。  結局、世界中の学者が調べたけれども大地が焼ける原因は解明できず、その代わりにわかったのは、世界が燃え尽きるまでに残された時間だった。  それが発表された十年前、世界中がパニックに陥った。当時幼かった私も、その時のことはよく覚えている。  両親が私の前でも隠さずに不安そうな顔をしたので、私も状況がよくわからないまま、不安で泣き喚いた。  世界中で、焼ける地面の進行を防ごうとあらゆることが試されたが、どれも効果はなかった。  ただ、予想通りの速さで、大地は焼けた。  人々は、迫りくる焼けた大地に絶望し、ついに自ら世界を滅ぼすことを決断した。  十年前と違い、今回の発表では、世界のどこも大した騒ぎにはならなかった。  残された狭い土地で暮らす人々は互いに協力しなければ生きていけなかったし、世界が燃え尽きるまでに残された時間も、半年後に迫っていた。  十年前から子供の数も減っていた。私の住む町では、私の十二歳の弟が最年少だった。  弟は世界の終わりを怖がって泣いたが、私の気持ちは穏やかだった。  一番の恐怖は、やはり十年前に残された時間について聞いた時のもので、それ以降は焼けていく大地と共に、私は育った。  大人になるころには世界は焼けているだろうね、と言われ続けていた。それが少し早まっただけだ。  焼けた大地の上で生活することは出来ないし、何より私は、焼けて死ぬのは嫌だと、ずっと思っていた。  
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