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最後の夜、私は家族と一緒に最後の食事をした。
「ねえ、どうしてもダメなのかな」
弟が暗い声で言った。
「まだ焼けていないところがあるかもしれない。そこで、皆で暮らせないのかな」
両親は困った顔で笑った。
「大丈夫よ。お父さんもお母さんもついているじゃない」
弟はそう言われると、それ以上のことは何も言わなかった。
弟が言ったことは、既に他の誰かも探した方法だと思う。
私も現実的ではないと思いながらも、よく想像したものだ。
この世界の裏側に、あるいはあの空の向こう側に、別の世界があるかもしれない。
……まあ、そんなものがあったとしても、私には関係ない、と気付いてしまってからは考えるのをやめている。
私が関わるこの世界が終わる。私も、死んで滅ぶこの世界の一部に過ぎない。
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