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「私は東へと旅立つことにします。貴方を弔うこともできず、離れてしまうことを、許してくれませんよね」
墓石に見立てた、簡単な石に花をたむけると、女性は俯いた。
「でも、私は生きていかねばなりません。ここに貴方の子が居る限り、私はこの子と共に歩んでいきます。もう二度と戻る事は無いでしょう、本当に申し訳ありません……」
そう言いながら、腹部をさする女性は、瞳から一筋の滴が流れ落ちる。
幸せだった日々はもう、戻ってこない。あの人に、子が出来たと伝えたかった。一緒に暮らそうといいたかった。それを伝えるべき相手は、話さなければいけない相手は、もう居ない……
「さようなら、私の愛しきひとよ」
弥生時代、それは東日本にとっては続縄文と呼ばれる時代。日本各地にアイヌの言葉である地名が、多く残っている。日本語の元である大和言葉とアイヌ語には共通する言葉が、少ないにもかかわらずである。
それは、アイヌ人の祖先が縄文人であり、アイヌの祖先は渡来系弥生人と交わらなかった証でもある。在来系弥生人は、渡来系弥生人と交わり、共存もしくは支配され、もしくは支配していった。
東へと移り住んでいった人々は、徐々に北へと移り住み、ロシア系の人々とほそぼそと交流していたと思われる。
西日本が特別であり、東日本の文化が止まったのでは無く、文化を分かち、個々で文化を築いていったのである。まさに、東西における人と文化の決別であったともいえるであろう。
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