終章

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「しばらくすればフェルラント達の応援も到着する」  最後に、とデルは腰に手を当てて軽い口調で全員に伝える。 「中には作業が途中の者もいるかもしれないが、これより4時間の休息をとる………団長命令だ、全員気にせず寝てしまえ」  デルの言葉を最後に、半数以上の騎士達が一斉に腰を下ろし、ある者は壁に寄りかかり、ある者は胡坐をかいたまま下を俯き、即座に目を瞑った。残った半数の騎士も欠伸をしながら部屋を出始め、壁に手を這わせながら思いつく最短の距離で寝る場所を目指していく。 「今、敵が来たらさぞかし笑われるだろうな」 肩を僅かに震わせたデルが部屋を後にすると、廊下では途中で力尽きて寝ている者、食堂では椅子に座って一息ついてそのまま寝落ちた者、部屋まで入ったがベッドの手前で力尽きた者など、様々な姿を見せていた。  デルは心の中で騎士達に感謝の言葉を述べつつ、デル自身も一瞬よろめき、自身の体力も限界に来ていることを感じ取る。  だが今の自分には目を瞑ることは許されなかった。 「団長」  デルの後ろから声をかけたのはバルデックだった。 「何だ、まだ寝ていなかったのか。お前も早く寝てしまえ」  無意識に目が閉じそうになる崩れた表情のデルは、手を払いながらバルデックに声をかける。だが、彼は疲れながらも神妙な顔つきでデルに笑みを見せる。 「出発隊10名、既に外で待機しています」  デルは目を大きくして驚いた。
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