第九章

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「団長、街の上を見てください。何かが飛んでいます」  近くで身を隠している騎士が小さく街の上空を指さす。デルがその先を見ると、街の周囲を旋回する1つの影が見えた。 「バードマンか。分かってはいたが、厄介な存在だ」  空から広い視野で偵察されれば、それなりの集団はすぐに見つかる。ましてや鎧を着ていけば光の反射で見つかりやすくなり、相手に自分達のいる場所を伝えることになる。 「やはり夜しかないか」 「………しかし団長、夜といっても月明かりの光である程度は見つかる危険性があります」  後ろで待機してい騎士が小声で呟いた。  デルもその意見に小さく頷く。2つの月明かりの光は意外と無視できない。 「光ると敵に見つかるか………だが、これを逆手に使えないだろうか」  デルが頭の中で逆の発想を展開させる。 「よし、ここに3人を残す。何か変化があれば洞窟まで伝令に走らせろ。特に蛮族の出入りには注意を払え」「分かりました」  デルの傍にいた騎士が適当に自分と残る2人の騎士を指さして無言で担当を決める。指名された騎士は小さく頷き、その場に残ることを理解する。  デルは残りの騎士達と共に洞窟の入口へと戻り、他の班が戻り次第その報告を待った。
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