さよならは言わないで

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ところが、運命には逆らえないようにできているんだね。 俺は、君と半ば強制的に出会わされてしまった。 君の死期まで早めてしまうとも知らずに、俺は愚かだった。 だから、君と人生が交錯しないように、努めて離れようとしたが、それは無駄なことだったと今知った。 俺は、君と過ごした五年間、すごく幸せだった。 君を最後まで幸せにしてあげることができなくてすまない。 約束を果たせなくてごめん。 だから、君は絶対に死ぬな。 約束してくれ。 これで本当のさよならだ。 今まで、本当にありがとう。」 この話が、本当のことなのか、彼の妄想なのかはわからないが、今までの彼の不思議な言動を考えると、頷けることもある。 「バカね。私が死ぬわけないでしょう?だって、私の中には。」 そうつぶやきながら、私は自分の中に宿った小さな命をお腹の上から撫でた。
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