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「何よ、自分だって自殺しようとしていたくせに。偉そうに説教なんてしないでよ。私のことなんて放っておいて!私のこと、何も知らないくせに!」
そう叫んだ。
するとその男は、とても悲しそうな顔をした。
「知っているよ。知りすぎるくらいに。」
その男は、呟いた。
何?この人。私のことを知っているなんて。ストーカー?私はあなたなんて知らない。
でも、私は、無性に懐かしい気持ちになった。
「とにかく、君は生きなくてはいけないよ。」
そう言うと、おもむろにスマートホンを開くと、どこかに電話をした。
しばらくすると、警察車両が崖の駐車場にたどりついた。
「じゃあね。もう死ぬなんて考えちゃだめだよ。」
そう言うと逃げるように立ち去ろうとした。
人の自殺を邪魔したうえに、自分だけ正義の味方気取りですか?
私がどんなに苦しんで、ここに来たのかも知らないくせに。
私は、悔しくて、その男の手を掴んだ。
男は、びっくりして振り向いた。
「お巡りさん、この人、自殺しようとしていました。」
私は、この自殺を邪魔して一人だけいい恰好して自分だけ自殺しようとしている男に、復讐した。
これで、おあいこよ。
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