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無我夢中でその場から逃げ出した。
会社の外に出て、歩きながら携帯を取り出す。
『ごめん!用事思い出したから外で食べてくるね』
千紗ちゃんにLINEを送る……意外に冷静な私……。
「あれ?有村さん?」
「あ、平井くん…」
「どっか行くの?俺も今外回りの帰りでさ」
「ちょっと用事ついでに、外で食べようかなって…」
「あ!よかったらそこのサンドイッチ一緒に食べない?一回食べてみたかったんだ!」
……あんまり食欲ないけど……そっちの方が余計なこと考えずに済むかも……。
二人でサンドイッチを買って、外のベンチに座った。
「有村さん、大分慣れてくれたよね」
一瞬、仕事のことかと思った。
「ほら、最初は話するだけでも赤くなってたじゃん?」
「恥ずかしい…忘れて~」
「でもそれが意外と、他の男共の噂だったんだよ?すぐ赤くなって可愛い~って」
「え!?そんなの…誰にも言われたことないよ…」
「多分、大和のせいだよ」
ドキン
「大和が有村さんにベッタリだろ?他のヤツも遠慮して近付かなかったんじゃない?」
……でも、それは千紗ちゃんに頼まれたからで……。
思い出して胸がズキンと痛む。
その時、急に突風が吹いた。
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