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青い青い晴空。駆け足で進む硬いアスファルトの上。僕らの学校へと続く通い慣れた道をひたすら進む。 もう周りは見えない。 途中、自転車にぶつかりそうになってやっと冷静さを取り戻した。 息が切れていた。その場に立ち止まり、ゼーゼーと呼吸する。やがて、ハーハーと呼吸できるようになると歩き出した。 正直、登校はいやや。疲れるし、しんどいし、はやく学校に行きたいし。はやく学校に着きたい。一刻でも早く。 僕は前よりも急ぎ足になった。 時間を忘れて歩いた。 やがて校門が見えてきた。 もうちょっとだ。もうちょっとで着く。あの子に会える。 そう思うといてもたってもいられなかった。 早足で昇降口まで行くと、僕は立ち止まった。分かる。いくら後ろ姿とはいえ好きならそれが誰かくらいすぐ分かる。昇降口にあの子がいた。 一瞬だけ躊躇ったが、僕は急いであの子の所に行く。一瞬でも多く喋るために。 「おはよう」 「あー、おはよう」 あの子はとびきりの笑顔で返してくれた。幸福感が僕を毛布のように包んだ。 それから僕らは、楽しくお喋りしながら教室へと向かった。仲良くなんでもないような会話をしながら。 特に踏み込んだ会話はしていないけれど、今は喋っているだけでも幸せ。そう思えた。 今日はいい日になるぞ。
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