導く声

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 ふと入り口の方から、ラジオのノイズのような音が聞こえてきた。  誰か来たのだろうか?  私はカウンターに身を寄せて辺りを探る。  さっき倒した感染者の所から聞こえてきた。  それは感染者が握っていた、トランシーバーだ。  さっきは気がつかなかったのに。  私はそれを拾い上げる。 「もしもし……」  スイッチを押しながら話しかけてみた。  使い方は何となく解った。昔使ったことのあるタイプ似ていた。 「……ザザ、き、ザザは……」  ノイズの向こうで人の声がした。 「! もしもし、もしもし!?」  私はコンビニを飛び出すと、トランシーバー向けて語りかけた。  久しぶりの人の声。  そして何より、感染者ではないと言うことだ。  感染者は道具を使えない。  しかし、ノイズは弱々しくなり、人の声も聞こえなくなる。  その時私はひらめいた。  コンビニに駆け込み、倒れかけた什器から電池を取り出す。何かに引っかかり、什器は大きな音を立てて倒れてしまったが今はそんなことを気にしている場合じゃない。  私は表に出ると、トランシーバーの電池を交換した。 「もしもし、もしもし!」  私は祈るような気持ちでトランシーバーに話しかける。 「……君は感染者じゃないね?」  トランシーバーの向こうから声が聞こえる。     
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