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そう私は一人じゃなくなったのだ。
「何か目立つ建物はないかな?」
「あの、私どうすれば……」
私はとにかく不安でしょうがなく、彼に対して質問をする。
「ふむ、それを考えなければいけないのだが、まず君が無事に俺の所へ来られれば一番良いのだが、その後のことはその後じゃないとな……良し解った、お互いが知っている特徴的な建物があればいいんだが……」
「はい」
「そう言えば、本町の銃砲店は知ってる?」
「あ、はい」
珍しい店舗だが猟友会のための銃砲店があることを私は覚えていた。
「そこに行って、銃を手に入れよう」
「はい」
私は、銃など使ったことも見たこともない。彼が使うのだろうか。
「感染者は音に反応するはずだ。静かに行けば見つからないと思う」
「解りました」
私は彼の言うことに抵抗がまるでなかった。
きっと壊れた世界で何をどうして良いか解らなかったのだと思う。
だから、方針を指し示してくれる彼の声がとても頼もしく思えた。
「バイクや車があっても使ってはだめだよ、彼らは音に反応する。乗り物に乗って襲われた人が多いのはそれが理由だと思うんだ」
「はい、解りました」
私は、この声に従っていれば大丈夫だと、安心感に包まれていた。
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