導く声

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「ああ、まぁいろいろとあるからね。俺、実はプレッパーなんだ」 「プレッパー?」 「海外では世界終末に備えて、シェルターを作り、其処にいろいろと物資をため込んでいる人たちの事を言うらしいよ」 「あなたもいろいろため込んでいたの?」 「いやぁ、なんていうかいろいろな保存食やサバイバルツールに興味があって、いろいろ集めている内に、プレッパーもどきになってたんだよね」 「やだ、なにそれ、おかしい」  私は小さく吹きだした。 「そうそうそんな感じにさ、友達や家族にもよく笑われたもんさ」  向こうで彼も少し苦笑をしているみたいだった。 「家族」  私はふとその言葉を口にした。  両親や、親しかった友人などの顔が脳裏に浮かぶ。  今まで思い出さなかったのが不思議なくらいだ。  きっといろいろな物に追われて、思い出すところではなかったのだろう。  懐かしさと喪失感に目頭が熱くなる。 「……ごめん、嫌なこと思い出させたみたいだね」  彼が申し訳なさそうに呟く。  暗く静かな部屋で一人で座を抱えていた私は、あまりの孤独感にうちひしがれそうになる。  それを耐えられるのは、深い疲労感と、トランシーバーの声のおかげだと思えた。 「イヤホンは持ってる? スマホなんかで使うヤツで良いんだけど?」 「え……はい」     
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