導く声

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 その間私は彼についていろいろと想像する。  歳は20代くらいかな。  ギターが弾ける、理系っぽいかも。  声からして、少し線の細そうなイメージがする。  顔は解らないけれど、いろいろな知識や機転が利くところからとても頼もしそうな感じがした。  きっとうまくいく。  頭の良い彼と合流できれば、この困難もきっと生き延びられる。外に助けを求める方法も彼が考えているに違いない。  私の足取りは軽かった。 「今は何処?」  少しかすれた彼の声。 「飯田2丁目です」  私は電信柱に張られた表示を見ながら読み上げる。 「そう、だいぶ近づいたね。なるべく急いで合流してくれ」  その時彼の声がかすれていることに気がついていれば良かったのだ。 「はい、急ぎますね」 「……頼むよ」  私は相手に求められていることに心がときめいていた。  手には、バールの代わりにショットガンを持った。  今朝、彼に自信が無くても、近距離のバールより遠距離で攻撃できるショットガンの方が良いとアドバイスされたからだ。  火災があったのだろう。  すでに火は消えていたが、これから通り抜ける住宅街は焼け落ち廃墟が連なる、ゴーストタウンだった。     
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