導く声

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導く声

きっと世界は滅びるのだろう。  いや、すでに終末という物を迎えているに違いない。  そして、今此処に生きている私は、世界のエピローグの中にいるのだろう。  人々を襲った寄生生物は人間を狂わせ世界を破壊した。  テレビもラジオも何も映さなくなり、電気は途絶え、水は壊れた蛇口から延々と吐き出され続けている。  私も最初は避難をした。  しかし、狂気の群れは私たちの避難所を襲い、必死に逃げ延びた私は廃墟の中で途方に暮れていた。  死ぬのかな。  みんな死んだんだ。  私が死なないわけがない。  でも耳は辺りの音に注意深く向けられ、目は動く物はないかときょろきょろと彷徨い、手には途中で出に入れた大きな工具を握りしめている。  高校生になったばかりの私の腕力では満足に振るうことの出来ないそれは、たしかバールと言われていた物だ。  こんなの今まで使ったこともないのに。  バールに目をやると、なんだか笑えてきた。  冗談のような廃墟の中でうずくまっても仕方が無く、本能のままに動いていた。  此処は何処だろう?  以前は来たことがない所だ。  目の前にコンビニのある通り。  彼方から聞こえてくるのは、狂気の叫び。     
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