プロローグ

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あった、あったという声に意識が思考から引き戻された。 資料を手にした顧問がドカリと椅子に座る。資料をめくりながら指の第二関節で眼鏡をくぃっと上げた。 「えぇと小泉は‥花房病院だな。親御さんには許可とってあるから、好きなときに行っていいぞ。」 ほれ、これ面会時間な。とメモを渡される。 この顧問が事前に連絡だと‥!と衝撃がはしった。戦きながらもお礼を言って受け取ることに成功する。 「‥なんか準備いいですね。お見舞いに行くこと知ってたんですか?」 驚きを抑えきれなくて思わず口から疑問が出てしまった。 資料に目を落としていた顧問はあぁと言って 「昔から度々体調崩して入院してたってのは、本人から聞いてたからなー。親御さんも慣れた風だったよ。」 あぁそういうことか。お見舞いを想定していたのは顧問じゃなくて小泉家か。
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