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どんより曇っているそれを見てため息をつく。
振られてすぐは絶望感だけが心を占めていたけれど、今冷静になってみて、喪失感が芽生え始めてきた。「これからどうしよう」って。あの子のことが好き。だけれどもうチャンスはない。
でも、せめて友達関係は失いたくないから。だから──今はそのためにがんばろう……
教室に着くともうすでにあの子が来ていた。みょうな、心臓がジリジリ痛むような緊張が走った。
席に近づく。1歩1歩。近づく。
「……ぉ、おはよう──」
ただの挨拶。なのに、なんだろう、この気持ち……まともに「おはよう」が出てこず、喉につっかえた。
彼女はなんとも掴めない表情で「おは……よう……」と返した。
それだけのことなのに、振られる前後でこんなにも変わってしまう。そんなこと今まで知らなかった。甘く見ていた。
関係修復にはもう少し時間がかかるようだ。
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